2~3ヶ月の間月経が不規則になっても、その後自然に正常な周期に戻るようであればあまり心配はありません。女性の体はとてもデリケートです。ちょっとしたストレスで排卵が遅れたりすることがあります。2週間くらい月経が遅れてしまうこともあります。基礎体温をつけながら3ヶ月程度様子を見て、ちゃんと排卵があって、徐々に正常な周期に戻ってくるようなら、慌てなくても大丈夫です。
特に初潮が来たばかりの頃は、無排卵月経や一時的に周期が不規則になることは珍しくありません。人によっては、20歳を過ぎてから月経周期が安定することもあるので、10代のうちは月経不順でも年齢とともに改善することがほとんどです。
ただ、60日以上月経が来ない場合は、放置しないでください。卵巣の働きがかなり落ちている可能性もあるので、早めに婦人科を受診することをお勧めします。
子宮ガンには、子宮の頚部(入り口部分)にできる「頚ガン」と、奥まった体部の内膜にできる「体ガン」があります。昔はガンといえば死病でしたが、今はそんなイメージは一新され、子宮頚ガンは治る時代になりました。こうした治癒率アップの最大の功績は、なんといっても「子宮頸がん検診」の普及にあります。
20~29歳の全ガン罹患数では子宮頸ガンが第1位となっており、未婚でもセックスの経験があれば、たとえ10代でも検診を受ける方がよいでしょう。また、「いまさら婦人科もねえ」としり込みする50代以降の閉経した女性の方も、子宮があるかぎりガンにならない保証はどこにもございません。
子宮頸がん検診は5分程度で終わり、痛みもわずかです。正しい子宮頸ガンの知識を持ち、何よりも早期発見のために子宮頸ガン検診を定期的に受診することが重要です。
子宮頸ガンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こることが知られています。
HPVに感染した際、すぐにガンが発症するわけではありません。多くの場合、自身の免疫力によってウイルスは体から自然に排除されます。しかし、この機能がうまく働かずにウイルスが子宮頸部に残り、長い間感染が続いた場合に、その部分の細胞が少しずつガン細胞へと進行していくことがあります。
当院で取り扱っている子宮頚ガンワクチンはガーダシルとシルガード9の2種類があります。ガーダシルは発ガン性HPVの中でも特に子宮頸ガンの原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンで、尖圭コンジローマの原因とされるHPV6型と11型の予防にも効果があります。感染を防ぐために3回のワクチン接種が必要です。シルガード9はHPV16型と18型に加え31、33、45、52、58型の感染を防ぎ、ガーダシルと同じくHPV6型と11型に対する抗体をつくります。年齢によって選択可能な接種回数が異なりますので、事前にご確認ください。
いずれも発ガン性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。しかし、すでに感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はこのワクチンには無く、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。
ですので、子宮頸ガンの早期発見と治療のために、ワクチン接種とあわせて定期的な子宮頸がん検診を受けることが重要です。
卵巣腫大を指摘されると、誰でも、悪性ではないかと不安になりますが実際には良性であることがほとんどです。
卵巣は、外界と隔離された腹腔内に存在するため「沈黙の臓器」と言われ、大部分の卵巣腫瘍はよほどの大きさにならない限り自覚症状なく経過します。
まず、この卵巣の腫れがどういう種類であるかを判断するために、内診、超音波断層法、CT、MRI、腫瘍マーカーなどの検査をおこないます。卵巣は親指の先ほどの大きさの臓器ですが、卵子を成熟させ排卵する働きと、女性ホルモンを作るという重要な働きをしているため、非常に多くの種類の腫瘍が発生します。さらに、排卵期の成熟卵胞や排卵後の黄体のように腫瘍以外でも腫れることがありますので、慎重な検査が必要です。
基本的な治療法は、腹腔鏡下あるいは開腹による手術で腫瘍を取り除くことですが、腫瘍が小さく悪性を疑いにくい場合には、経過観察する場合もあります。
一番考えられるのは、カンジダ腟炎という症例です。
腟の自浄作用が低下した場合、腟内にカビの一種であるカンジダという真菌が増殖しやすくなります。真菌は普段から私たちの体に住み着いていますが、異常増殖し、おりものの増加やかゆみを引き起こしてくる場合には治療が必要となります。
腟の自浄作用が低下するのは、抗生物質を服用したとき・病気や過労などが原因で体の抵抗力が落ちたとき・妊娠時(妊娠も体の抵抗力が弱った状態です)・糖尿病の人等が挙げられます。おりものは、ヨーグルト状や酒粕状の少しポソポソした状態で、白色や黄緑色となります。
治療法としては、腟の中を洗浄し腟錠を入れます。外陰炎を起こしている場合は、軟膏も使用します。治療により症状は3日ほどでおさまりますが、真菌をしっかり退治するには2週間ほどかかります。
子宮筋腫は、子宮にできる良性のコブのことで、5人に1人の女性が子宮筋腫を持っていると言われています。子宮筋腫自体は良性の腫瘍であるため治療が必要でないこともあります。但し、子宮筋腫により①月経が多くなる、②不正出血を認めるようになる、③筋腫が大きくなりすぎて下腹部に触れる場合などは治療が必要になってきます。
治療法としては、手術療法もしくは薬物療法となります。手術は、筋腫を含めた子宮全体を切り取る方法と筋腫だけを切り取り子宮を残す方法があります。子宮を残す方法は、子供がほしい人にはすすめられますが、後に筋腫が再発することもあります。薬物療法では、症状を抑えるための一時的な治療法で、筋腫がなくなるというわけではありません。
また、上記以外の治療法として、子宮動脈塞栓術や集束超音波療法などが知られています。
子宮筋腫は、死に至る病気でないこと、女性にとって大切な子宮にできていることなどから、自分のケースに合った治療法を納得して選ぶと良いと思われます。
子宮の内側をおおっている内膜は、毎月の月経周期に合わせ、女性ホルモンの作用で厚くやわらかく増殖し、その後妊娠しないとはがれ落ちます。これが月経ですが、この子宮内膜類似の組織が子宮内膜以外の場所で増殖し、月経時にその場所で出血を繰り返すのが子宮内膜症という病気です。この組織は女性ホルモンの影響を受け、子宮内膜と同様に増殖、剥離、出血という周期を繰り返します。そこで、行き場のない月経血がたまり、周囲の臓器や組織に癒着したり、チョコレート嚢腫という卵巣の腫瘍つくったりします。そのため月経痛を引き起こしたり、さらには卵管が癒着して不妊症の原因になることがあります。
子宮内膜症の診断には、内診や直腸診、超音波検査、血液検査(腫瘍マーカー)を行いますが、確定診断は腹腔鏡検査で行います。
月経痛は個人差があるものですが、動けないほどひどい月経痛や痛みがひどくなる場合などは、一度婦人科で診察を受けた方がよいでしょう。
さまざまな医学的あるいは社会的理由で、月経を移動しなければならないことがあります。
<次回の月経を早める>月経初日から数えて5日目以内より10日間ピルを内服します。ピル内服終了後の2~4日目から出血が始まります。そうすると、予定月経を7-10日間前後早める事が出来ます。
<次回の月経を遅らせる>予定月経初日の5~7日前から、月経を延長したい日までピルを内服します。ピル内服終了後の2~4日後に出血が始まります。この方法では、排卵日以降にピルを内服するので、妊娠の可能性が無いことが条件になります。
ピルは、2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)が含まれており、服用することで排卵が起こらない状態となり妊娠を防ぐことができるという避妊法です。日本でも、ホルモン量の少ない低用量ピルが使用されるようになり、副作用はずいぶん減ってきました。
服用した際に最初の時期は、吐き気、頭痛、乳房の張り、不正出血などを認めることがありますが、多くの方は飲み続けているとおさまってきます。長期の服用した場合、肝機能障害や脂質代謝異常をきたす場合もありますので、定期的な検査が必要になります。また、血栓症、心臓や血管系異常、子宮体ガン、乳ガン、高血圧、糖尿病を合併している方や肥満、喫煙者など、ピルを服用することができない可能性があるので、婦人科医にくわしく聞いてみて下さい。 飲み忘れがなければピルは非常に避妊効果の高い避妊法です。また、彼の協力を得られなくても、自分でできる点も良い点だと思います。 しかし、ピルは避妊はできても性感染症は防げません。彼にコンドームをつけてもらえるように一度話し合ってみましょう。
日本人女性の平均的な閉経年齢は50才くらいで、一般的に「更年期」とは、この閉経をはさんだ前後10年間、45〜55才くらいの間をさします。この更年期には、卵巣機能の低下から女性ホルモンの分泌量が急激に減るために、人によってはさまざまな障害が現れてきます。代表的な症状としては、顔がほてる、汗をかきやすい、手足が冷える、息切れや動悸、寝つきが悪い、イライラする、頭痛やめまい、疲れやすい、肩がこるなどがあります。この症状が日常生活に支障をきたすほど強いときに「更年期障害」と呼びます。月経痛やつわりにも重い人と軽い人がいるように、更年期の症状の出方や強さも人によってずいぶん違います。それ自体は決して異常なことではなく、程度の差こそあれ女性ならば誰にでも起こりうる、ごく自然な体の変化なのです。大切なことは、症状が出たときまず更年期障害を疑って婦人科を受診し、適切な治療を受ければ更年期を楽にのりこえることができます。